中野でゲームセンターの開業手続きを代行しました。
令和7年5月
中野でVRアトラクション専門のゲームセンターを開業予定の法人様より風俗営業5号許可(ゲームセンター等)取得の代行をご依頼いただきました。
最初に、この施設を営業するにあたって風俗営業5号の許可取得が必要なのか?という問題がありました。
風営法は大昔に制定された法律で、幾度も改正はされていますが現代の多様化する社会に対応できていません。
昭和の人間がパッと想像する様ないわゆるゲームセンターのみを想定したルールになっていますので、今回の営業形態が風営法に規定されるゲームセンターを営業に該当するのか判断するのは難しいところです。
と言いますのも、ゲームというより映画に近い部分もあり、ゲームオーバーという概念が無く途中で終わってしまう事はありません。
ゲームが苦手な人でも必ずストーリーの最後まで到達します。
ただし、その過程での行動によってスコアが付きます。
実際に似たようなアトラクションを風俗営業許可無しで運営されている施設もあるとの事でした。
最終的には警察署へ相談し、許可が必要か不要かを判断していただく事になりますが、
こちらでも確認し自分なりの解釈や判断を持っておくべきかと思います。
参考リンク▶ゲームセンターを開業する
以下に風営法及びその関連法規から判断材料となりそうな部分を記載いたします。
また、この後に頻出する「射幸心」という言葉について先に説明しておきます。
射幸心とは「偶然の利益や幸福を頼む心」を指します。努力や苦労をせずに、まぐれ当たりなどによって利益や成功を得たいと願う気持ちのことであり、ギャンブルなどで一攫千金を夢見る心理などがこれに当たります。(AI)
風営法第2条第1項第5号 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業 |
青字部分(国家公安委員会規則で定めるもの)の中で該当しそうなものは以下になります。(一部抜粋)
規則第3条第2号 テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。) |
更に「風営法解釈運用基準」の第3に「ゲームセンター等の定義について」という項目がありますが、内容としては上記とほとんど変わりありませんので割愛します。
警察署へ事前相談
以上を踏まえて、やはり風俗営業許可は必要と言われてしまうだろうと思いつつ、その他の資料を用意し中野警察署へ事前相談に行きます。
担当者様に説明をし資料を提出し、本部に判断していただく事になります。
数日後に電話で回答があり「許可は必要」との事でした。
ただし、今回のケースではスコアの表示をしなければ射幸心をそそるおそれがある遊技には該当しないとの事でした。
スコアの表示はする意向ですので風俗営業許可は取得する必要はありますが、
許可が出る前にプレオープンとしてスコアの表示をしない形での営業は可能になります。
保全対象施設の調査
入り組んだ路地に飲食店が密集した地域がありますが一軒一軒しっかりチェックしていきます。
保全対象施設の調査は営業所の範囲を基準として行いますが、営業所が雑居ビルの一画にある場合には雑居ビル全体の範囲を基準として行ってしまう事が多いです。
営業所を基準とすれば保全対象施設の距離制限にかからないが、ビル全体を基準とすれば制限にかかってしまうという場合は別ですが、
なかなかその様なケースは珍しく、逆にビル内の営業所の位置を特定する方が困難な事が多いからです。
しかし、今回の営業所は距離の長いモール風な建物の一画にあるため、建物全体を基準としてしまうと非常に広範囲になり調査も大変ですし、そもそもA4サイズの用紙に収まらないと思われるので営業所の範囲を基準とする事にします。
建物内の営業所の位置を特定する為の資料が必要ですが、当該営業所は区分建物(分譲マンションのように一棟の建物が複数に区分され、それぞれの部分を独立して所有・登記できる建物)だったので法務局で建物図面を取得する事で正確に営業所の位置を特定できます。
建物図面は簡単に言うと以下の様な図面です。
これを基に営業所の周囲の略図に営業所の位置を落とし込みます。
調査の結果、保全対象施設はありませんでしたので、営業所の計測をし図面を作成、
その他の必要書類を準備して許可申請をいたします。
7月上旬風俗営業許可申請
申請先は中野警察署です。
住所:〒164-0011東京都中野区中央2丁目47番2号
電話:03-5925-0110
今回の提出書類
①許可申請書
②営業の方法を記載した書類
③営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
④営業所の平面図等(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
⑤営業所の周囲の略図
⑥住民票
⑦身分証明書
⑧法人定款
⑨法人登記事項証明書
⑩誓約書
⑪管理者の写真2枚
⑫メニュー料金表
⑬委任状
⑭一郎の委任状(後に説明)
⑮理由書(後に説明)
※申請手数料24,000円
③営業所の使用について権原を有することを疎明する書類について、少し問題がありました。
通常ですとこれらの書類として
・建物の登記事項証明書
・賃貸借契約書のコピー
・使用承諾書
以上を提出しますが、建物の登記事項証明書の権利部(甲区)には仮名で太郎(旦那様)、花子(奥様)ご夫婦での共有として登記されています。
しかし、太郎はお亡くなりになっており、その持分についての遺産分割は行われておりません。
太郎の法定相続人は花子と一郎(ご子息様)の2名です。
そこで一郎から花子に当該物件の賃貸借契約に関する一切の権限を委任するという委任状を頂く事と、
これらの事情を記した理由書を提出する事でこちらの問題をクリアします。
その他は特に問題なく申請は受理されました。
翌日を起算日として土日祝日を除く55日以内に許可が出ます。
8月末、実査
通常ゲームセンターの実査ではゲーム機前の照度を確認されますが、この店舗にはゲーム機が存在しませんので、
浄化協会の先生方もどこの照度を計測すればよいのか困惑されていました。
中野警察署の担当者様も本部から頼まれたとの事でプレイエリアの写真を撮って帰られました。
他には特に問題無く実査終了です。