NPO法人を設立する
身のまわりの地域、社会が抱える大小様々な問題に取り組み解決、改善していく為にNPO法人の設立をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここではNPO法人設立についての流れを要件、注意点等を交えながら解説していきます。
目次
NPOとは?
NPOとはNon-Profit Organization(ノン プロフィット オーガニゼーション)の略で非営利団体を意味します。
非営利団体ですので営利目的の企業とは違い、お金儲けのために活動するのではなく地域や社会の問題・課題を解決、改善するために活動をする団体です。
ボランティア団体や市民活動団体などのイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。
ただし、非営利団体といってもお金儲けをしてはいけない訳ではありません。
生じた利益は地域や社会の問題・課題を解決、改善するための活動に係る事業のために使用しなければならず、役員や社員に分配することが認められないだけです。
また、職員や役員へお給料を支払うこともなんら問題ありません。
NPO法人
NPOのうち、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき法人格を取得した団体がNPO法人となります。
NPO活動をするためにはNPO法人とならなければいけない訳ではありません。
法人化することでメリットデメリットがありますので、それらを理解したうえでご自身の団体をどのように運営するかをご判断して下さい。
また、法人格をもってNPO活動を行うためには一般社団法人を設立するという方法もあります。
次にNPO法人と一般社団法人の違いやNPO法人のメリットデメリットについて解説していきます。
NPO法人と一般社団法人の違い
一般社団法人もNPO法人と同じく非営利法人ではありますが、設立時の要件、費用、期間をはじめ設立後の活動範囲や必要な手続きなど様々な違いがありますので、主な違いを下記の表にまとめます。
NPO法人 | 一般社団法人 | |
設立手続き | 所轄庁の認証後、設立登記 | 設立登記のみ |
一般への縦覧期間 | 2週間 | 無し |
審査期間 | 約2ヵ月 | 無し |
公証役場での定款認証 | 不要 | 必要 |
設立時費用(定款認証手数料) | 無し | 5万円 |
設立時費用(登録免許税) | 無し | 6万円 |
社員数 | 10人以上 | 2人以上 |
所轄庁の監督 | 有り | 無し |
NPO法人は「特定非営利活動促進法」を、一般社団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を根拠法令とします。
NPO法人(特定非営利活動法人)が行うことのできる「特定非営利活動」は、以下の20の分野に限られます。
①保健、医療又は福祉の増進を図る活動
②社会教育の推進を図る活動
③まちづくりの推進を図る活動
④観光の振興を図る活動
⑤農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
⑥学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
⑦環境の保全を図る活動
⑧災害救援活動
⑨地域安全活動
⑩人権の擁護又は平和の推進を図る活動
⑪国際協力の活動
⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
⑬子どもの健全育成を図る活動
⑭情報化社会の発展を図る活動
⑮科学技術の振興を図る活動
⑯経済活動の活性化を図る活動
⑰職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
⑱消費者の保護を図る活動
⑲前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
⑳前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
主たる事業はこれらの20の分野のいずれかに該当する事業でなくてはなりませんが、あらゆる事業分野がカバーされていますので活動が制約されるという事はまず無いと思います。
NPO法人のメリット
一般社団法人との違いと重複する部分もありますので上記表もご参考にして下さい。
主には以下のようなメリットがあります。
・設立費用が軽減される
・団体が契約の主体となれる
・社会的信用が高まる
・人材の雇用が出来る
・補助金、助成金を活用しやすい
・公共事業への参加がしやすい
・税金が優遇される
NPO法人のデメリット
一般社団法人との違いと重複する部分もありますので上記表もご参考にして下さい。
主には以下のようなデメリットがあります。
・設立に時間がかかる
・活動内容に制限がある
・厳正な事務処理が必要
・情報公開義務がある
NPO法人設立の流れ
おおまかに
①申請までの事前準備
②申請から認証まで
③認証後の手続きのような3段階に分かれます。
①申請までの事前準備
一緒にNPO活動をしていく仲間と共にNPO法人の活動、運営等についての全体構想を構築します。
設立発起人会、設立総会を開催し、設立認証申請に必要な書類を用意し、所轄庁へ設立認証申請をします。
②申請から認証まで
設立認証申請が受理されてから2週間は市民に対して事業計画書や定款、活動予算書などが公開されチェックされる縦覧期間となります。
縦覧期間と同時に所轄庁による審査も行われます。
受理後、2週間~2ヵ月と2週間以内に認証もしくは不認証が決まります。
認証されると認証書が送られてきますので認証後の手続きへ。
不認証の時は申請内容を修正し再申請することも可能です。
③認証後の手続き
認証書が届いた日から2週間以内に主たる事務所を管轄する法務局で設立登記をします。
主たる事務所の設立登記完了によって正式にNPO法人として成立しますが、NPO法人の設立日になるのは設立登記申請日になります。
従たる事務所がある場合は、主たる事務所の登記日から2週間以内に従たる事務所を管轄する法務局で設立登記も必要になります。
法人設立登記が完了したら遅滞なく所轄庁に設立登記完了届出をします。
ここまでがNPO法人設立までのおおまかな流れになります。
ここからは個別に更に詳しく解説していきます。
申請までの事前準備
目的と活動内容を決める
そもそものNPO法人設立の動機となる部分です。
どのような社会問題・課題を感じ、それをどのように解決、改善していけば良いのか?
どのような社会を目指すのか、活動の目的、目標を明確にし仲間と共有します。
活動財源の立案
NPO法人の主な収入源には以下のようなものがあります。
寄付金:企業や個人から受け取る見返りなしのお金
会費:NPO法人の所属会員からの年会費・月会費などの収入
助成金・補助金:国や自治体に申請し支給されるお金
事業収入:物販や講演会による収入
その他:上記以外の収入(例:受託費)
これらの資金調達の方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特定の方法に偏らないようにすることも一つの手段ですが、逆に一定の資金調達方法に徹底するというのもまた一つの手段と言えます。
寄付・会費や助成金・補助金は資金の使途が限られているケースがあるため、活動内容が制限されやすくなる点に注意が必要です。
いずれにしてもご自身の団体に合った手段を考えることが重要です。